奇跡は君だ

契約終了につきグループを解体いたします。

別々の道を歩む事になりますがこれからもメンバーへの温かい支援をよろしくお願いします。

2021年11月1日、再契約に関して怪しい雲行きだった推しグループは事務所から出されたお知らせで呆気なく終わった。
7年間、デビュー前から数えれば10年近くになるだろうか。ずっと応援してたグループが薄々勘付いてたとはいえ無くなってしまった事は私にとって大きな絶望だった。会社に半殺しにされていた私はプツリと糸が切れたのか、総務部にもうここで仕事をするの厳しいですとズームのテレビ電話で泣いた。とりあえずしばらく休んで!と休職届をすぐ手配してくれた総務部の人、ありがとう。
ズームの電話を終えてあとベッドでひとしきり泣いた後に時間を持て余すことになる事に気がついた。

「そういえばなにわ男子、そろそろデビューするんだっけ」

連日テレビで流れるなにわ男子、そういえばまいジャニに出てた子達だよな。まあ、西畑と大西しかちゃんと記憶ないな。と思いながらYouTubeで検索をかける。適当に最近のライブ映像を流した。ここで2021年1番の衝撃を受けることになる。

大西流星、こんなに可愛く綺麗になってんのか!?

昔見ていた時よりすっとした顔立ちとキラキラした目、パワーアップした可愛いを振り撒く大西流星に心全部持って行かれた。
元々韓国アイドルを推していたが、なんせコロナのせいで現場がなく、モチベーションが下がりまくっていた事も大西流星にのめり込む材料になり毎日動画を漁った。落ち込んでいた気持ちを持ち直す事ができたのはキラキラした王道アイドルの大西流星がいたからだ。
大西流星のドーピングによりCDリリースの頃にはフラゲをできるくらいには元気を蓄えることができた。ドキドキしながらタワレコの渋谷店に向かい、初めてジャニーズのCDを買うという高揚感とオタク達のお祝いムードで明るい店内は、久しぶりにオタクをしてるな〜と感じさせてくれた。その時オタク達がこぞって出していたアクスタが羨ましくてすぐメルカリで買った。届いた日には嬉しくて何枚も写真を撮った。

デビュー週のMステでの大西流星はこれまで見た姿どれよりキラキラしていて、でもキラキラだけじゃなくてこれからの道を進んでいく熱い決意を感じて思わず「奇跡はあんた!!」とテレビに向かって叫んだ。ちょうど親戚の結婚式もあり実家のテレビで見ていたため両親は私にドン引きしており、ずっと巻き戻して見ていたらもうやめてくれとリモコンをそっと取られた。
その日、何度も何度も見直した大西流星のパフォーマンスはダンスの綺麗さも、可愛らしくその次への雰囲気を盛り上げていくボーカルも、目をキラキラさせながらにっこりと笑った表情も、どこを切り取ってもアイドルの模範解答だった。
ここはオタクの過大解釈が入るが、いつもキラキラしている目がもっとうるうるしてキラキラと見えて、泣きそうなのかな。やっとデビューだもんねとしみじみとした。

その日の姿は、これから始まるこの子のアイドルとしての長い道のりを私も応援したいという気持ちを固めてくれた。

それからの私は休みの間にTwitterも始めて、そこからフォロワーに会ったり、なにわのにわに足を運んだり、彼が行ったイルミネーションを見に歩いた。死にかけていた精神は大西流星により彩られて、整っていった。大西流星に会うためにこの安月給劣悪環境じゃやってけないな。と辞めるに辞めれなかった会社も、もう辞めようと思えて離職票も書いた。そこから残りまくった年休を全部消費してやった。そして今、新生活を始めた私は小学生に振り回されながら暮らしている。いつか大西流星をオレンジのペンライトで照らす日を夢見て。

私の奇跡は大西流星、君だよ。